池袋暴走事故の加害者から考察すること
池袋暴走事故の裁判があり、飯塚幸三被告(89)は「車の不備が原因と思っている」と話したらしい。
車は事前にメーカー(トヨタ)が調査し、異常は無かったという。
ネットには「『プリウス』が操作を誤りやすい構造になっている」と書き込まれるような内容もあった。
高齢になると判断力が鈍り、身体能力も落ちる。
つまり、「若い頃にできていたこと」は「できる」と思っていてもできないのだ。
操作を誤りやすい作りになっているなら、高齢者が間違えても無理はなかろうと予想できる。
加害者家族がなぜ止められなかったか
飯塚幸三被告(89
家族が何度も運転しないように言ったが、止めなかったそうだ。
今振り返ると、「周囲の言葉に耳をかせない」という時点で「正しい判断はできない」とも取れる。
加害者家族もネットで叩かれているそうだが、責められるべきではない。
高齢者の判断能力の低下を甘く見ている日本のシステム(法律)も悪い。
いち病院スタッフとして池袋暴走事故を考えた
病院にいるとわかるのだが、「認知症」の患者が近年増加している。
データ通りに「安定して」増えている。
認知症患者と毎日関わっていると、いろんな認知症患者に会う。
私は今の病棟に来る前まで、「認知症患者が一人暮らしをしている」なんて想像できなかった。
しかし、現状は「認知症患者の一人暮らし」は多い。
そして、「昨日まで運転していた」という認知症患者も多い。
「こんなにわからないような人が運転していたのか?」と驚かされる。
「自分の事は自分が一番わかっている」という思い込みからくる
「自分の事は自分が一番わかっていない」という事実。
こういう人の特徴は「自分が悪いと思えない人」である。
- ここに財布をいれたはず(誰かに取られた)
- 時計を持ってきていた
- 靴を履いてきていた
- あの人に渡した
などという、「勝手な」思い込みは後をたたない。
そして、こちらの言い分には耳を貸さず、「そんなはずはない」と根拠のない自信をしめす。
重度な認知症の場合は、「探してみますね」で済むが、軽度な認知症は中途半端に覚えているのでたちが悪い。
飯塚幸三被告(89)の認知機能は軽度低下しているのだろうと思う。
また、過去の栄光(役職)があるため、「周囲の人が注意しにくい環境を作っていたのではないだろうか。
この事件から何かを変えないといけない
私は、この事件の内容や裁判の判決結果よりも、日本のシステムとして何かを変えないといけないと思う。
年齢で言えば、60歳を超えた時点で何らかの制限や試験は必要であろう。
気づかないうちに認知機能は落ちているものである。
ゲームや脳トレのようなもので、「初めてのことにもある程度俊敏に対応できるか」という確認も必要なのではないかと思う。
車がないと「生活に困る」とか言っている場合ではない。
人命がかかっている。
車云々は他の何かで対応するべきであろう。
「今までのやり方」を変えようとしないのが人間であるが、悲劇をこれ以上増やさないように、ある程度厳しい規制を作ってもらいたい。