タイトルで書いたが、よく聞く言葉に「名プレーヤーが名監督になるわけではない」という言葉がある。
看護の世界でもそうだが、「現場の仕事ができる人」が「管理職」になるケースは多い。
天才的に仕事をさばき、質の高いスピードのある仕事をやるプレーヤーは、周囲からの信頼も厚く、管理職からも目をつけられ、そのまま昇進する。
確かに、「仕事ができない人」より「仕事ができる人」が管理職になったほうが組織がスムーズに回る・・・という事は想像にたやすい。
ただし、ここには「落とし穴」もある。
ここまで書くと、勘の鋭い人は気づくだろうが、「仕事ができる人(できていた人)」は部下に同じような仕事を求める。
皆ではないかもしれないが、そういう傾向になりやすい。
「私はできていたので、あなたも出来るでしょ」というパターン。
それに伴い、「なぜできないの?」「言ったよね?」という「攻め」の言葉を言いだすと最悪である。
集団はそれではまとまらない。
管理職は役割が違う
管理職になると「考え方」を変えないといけない。
まさに「ゼロ」から初めないといけないくらい、大きな転換が求められる。
それを拒む人、「今までのやり方で十分」と思う人は、うまく行かない。
管理者は役割が違うのだ。
看護の世界でも「ファーストレベル」「セカンドレベル」「サードレベル」という看護管理者の研修がある。
そこでは「人・モノ・金・時間」などの「資源」の話が冒頭で出てくる。
資源を最大限に使い、利益を出したり質を高めたりすることが役割である。
「人」に対しては「教育」するが、その人の「強み」を最大限活かせるように関わる。
AさんとBさんがいれば、それぞれ得意分野は違う。
そこを理解して教育に携わらないと、上手く行かない。
同じ関わりをすれば良いというものではない。
集団心理や管理者(リーダー)の影響についても学ぶ
管理者(リーダー)の態度も大事である。
「何が真実か」ではなく「どう見えるか」が大事になることもある。
モノは「必要なもの」「必要でないもの」を考えなければならない。
「金」ともつながるが、無駄遣いは良くない。
設備投資や減価償却も考えておかなければならない。
時間も大事な資源である。
時間がなければ何もできない。
スタッフの動きが10秒でも縮まるなら、改善は必要である。
今まで、「患者ケア」を中心に、どれだけ「早く」「確実に」処置や注射ができるか、マルチタスクをこなすか・・・という事に頭を使ってきたプレーヤー時代を横において、じっくりと「この先」を予測して考えなければならない。
「目の前の事象」をこなすのではなく「これから起こる事象」を捉えて動かなければならない。
せっかちなプレーヤー時代は終わっている。
目の前で起こる「スタッフの人為的なミス」を責めるより、「次に起こらないようにするにはどうしよう?」という事に頭を使うべきである。
答えは無い。
結果はすぐに出ない。
批判もされるかもしれない。
それでも未来を見て動くしかない。
現場の仕事を手伝って自己満足感を味わうのも良いかもしれないが、もっと大事なことがあるはずである。