日常の中でさまざまな「トラブル」は起きる。
毎日同じように見えて、毎日違う事が起きる。
管理者になるとその「火消し」に翻弄される事もあるが、「できごと」に目がくらむと失敗する。
日常で起きるさまざまなトラブルにはどんな要因があるのか知る必要がある。
ピーター・センゲという提唱している「学習する組織」というものをご存じだろうか?
管理者はこの考え方は知っておいた方が良い。
むしろ、知らない人はそれだけで時間を無駄にしていると思うし、ジリ貧になる恐れがあるのでこの考え方は知っておくべきである。
センゲの本は分厚くて読みにくいので、本が苦手な人は「マンガ版」も出ているので、こちらをオススメする。
問題が起こったとき、原因を1つに絞りたくなるが、「学習する組織」の中ではこれを「論理的思考」と呼ぶ。
よく一般的に「論理的に考えなさい」と言われるので、「論理的思考(ロジカルシンキング)の何が悪いの?」と思ってしまうかもしれないが、ロジカルシンキングが悪いわけではない。
それぞれの状況や課題に応じて考え方を使い分ける必要がある。
「学習する組織」のマンガ版では、害虫の話が出てくる。
害虫が農作物を食べてしまって困っている時、その「害虫」を殺してしまえば問題は解決するように思われる。
論理的思考であれば、これで問題は解決できるが、「害虫」を殺すことで、生態系のシステムが狂う。
同時に「良い虫」まで殺してしまい、結果的に良いもの(収穫)が得られない。
医療の現場も1つの「できごと」の中に様々な要因が含まれており、それを紐解いていかなければならない。
私たちの生活している世の中は、動的で複雑である。
「仕事が17時に終わらない」
という「できごと」に対して、「17時帰るように指導すれば良い」というものではない。
・スタッフ要因
・患者要因
・環境要因
など、様々な要因が絡み合って結果となっている。
アホな管理者ほど「なぜ17時に終わらないの?」とアホな質問をする。
それが簡単に分かるようなら、17時に終わる。
厳しいことを言うならば、その問題の解決は管理者の仕事である。
「学習する組織」では
「できごと」のレベル
「パターン」のレベル
「構造」のレベル
「メンタルモデル」のレベル
と分けて考えていく。
私が好きな「7つの習慣」でも枝葉末節に働きかけるのではなく、根本に働きかけないといけないと書いてある。
当たり前の事のようだが、これを行うのはなかなか難しく、骨が折れる。
しかし、行わなければ何も良くならない。
システム思考を一度学んで取り組んでみるとわかる。
一度やり始めると、次から楽になる。
仕事を一人で行うのではなく、一人一人に自覚が芽生え、責任を持って取り組もうとする姿勢がみえるようになる。
是非「学習する組織」は管理者に読んで欲しいのだが、最後に論理的思考(ロジカルシンキング)とシステム思考を写しておく。
論理的思考(ロジカル・シンキング)
応急処置や状況分析・整理やオペレーションなどの戦術レベルで有効
種類の複雑さを重視
スナップショットで詳細を見て、要素に分解して整理
線形のロジック重視
正確な計測と真実の証明を重視(測りにくい情報や定性的情報や抜けがち)
外部要因へ働きかける(実施者の内面が抜け落ちる)
木を見る
システム思考
根本的な問題解決や長期的な戦略策定レベルで有効
動的な複雑さ重視
時間経過とともに起こる動的なパターンを見て機序で整理
循環、蓄積、非線形性を重視
重要な定性的情報を含めた全体像の把握と問題解決への妥当性重視
相互作用を明らかにして、実施者の関わる内部要因に糸口を見いだす
森を見る