東京女子医科大学病院がボーナス全額カットで、看護師の退職希望者が400名出たという情報が流れてきた。
Twitter上でもかなり賑わっており、「やっちまえ~」的な発言も目立つが、同じような状況にある病院も多数あると推察される。
一方で、「ボーナスに期待している方も悪い」という批判もある。
東京女子医科大学病院とはどんな病院なのか?
東京女子医科大学病院の概況を見ると、
・病床数:1,194床 (一般:1,148床 精神:46床)
・医師数:831名
・看護師数:1,124名
と、規模としてはかなり大きな病院である。
医師が多く、「人件費が莫大だろうな」という事は予測される。
本当にボーナスカットだけで辞職の方向に動いたのか?
普段から看護師の世界は「待遇が悪い」と言われている。
看護師という職業は外部から見ると「患者さんから感謝される」「あこがれの職業」というイメージがあるかもしれないが、中に入るとタスクの多さや責任の重圧に耐えながら実務をこなさなければならない現状があり、そのギャップについて行けない看護師も多数いる。
Twitterの世界で、看護師が「辞めたい」と発言しているTweetをよく見かけるが、現状に辟易して自信を喪失している人たちがいることがわかる。
今回の東京女子医科大学病院は普段からこのサポートが十分でなかった可能性がある。
現場では、日々トラブルが起こる。
トラブルのない日は無いと思っておいた方が良い。
ちなみに私の昨日の午前中は、
- 朝からスタッフが体調不良で休む。
- 子供が熱が出たから出てこれない。
- 天候不良で、職場に来るのが少し遅れる
- 患者さんが痙攣した
- 今日の夜勤のスタッフから「祖母が亡くなったので勤務を交代してもらいたい」と連絡あり
- 病棟のエアコンの調子が悪い
- 退院する患者さんの迎えが悪天候で遅れる
- 他の病棟から「応援もらえないか?」と相談の連絡
- 副看護部長からの呼び出しの電話
など・・・
朝から賑やかだった。
「調整」は管理職の仕事であるが、一気に入ってくるこの「イレギュラーな事象」に対応しなければならない。
このイレギュラーな事を一つ一つ解決して安定させるのが管理職の仕事の1つである。
管理職によっては「キャパオーバー」になり、ギャーギャー騒ぐ人もいるようである。
急に不機嫌になる管理職(師長)の話も聞く。
嫌になる気持ちはわからないでもないが、イレギュラーな事項を安定させて、落ち着いた「空気感」を作り出すのが管理職の手腕ではないのか?
私はそう思っているから、ゲーム感覚で楽しみながらやっている。
上手くいかない時もあるが、たいてい「何とかなる」。
「何とかなる」と知っていれば、慌てる必要も無い。
また話がずれた。
東京女子医科大学病院は日常的にこのコントロールが上手くないのではないかと思っている。
「人」の動かし方を知らない管理職の人たちが人を動かそうとしているように思える。
(お得意の「勝手な想像」であるが・・・)
デールカーネギーの「人を動かす」という本を読んだことがあるだろうか?
人を動かすには「重要感」を持たせなければならない。
何かを他人にお願いしたい時、
「○○をやってください」ではダメ。
「○○さんに○○をやってもらうと、すごく嬉しい(助かる)」と「お願い」しなければならない。
「アイメッセージ」と言われるものは、意外と使える。
不毛なイデオロギー闘争を起こすつもりはないが、この「やらされ感」の積み重ねは後に大きな結果となって帰ってくる。
今回の東京女子医科大学病院の「爆発」はこの積み重ねが招いた結果ではないかと思っている。
結果の前には必ず「原因」がある。
そこを正しく掴めないと、同じことを繰り返す。
人を正しく使っていれば、ボーナスカットくらいでこんなに大量に辞職するわけがない。
言い換えれば、「東京女子医科大学病院は、お金以外魅力がない」ということである。
東京女子医科大学病院はその後に、「減ったら雇えば良い」という安易な返答をしているらしいが、「そういう所なんだけどな・・・」と思ってしまう。
新しい人を一気に入れるということは、現場でどういう事が起こるのか・・・
「数字だけ」で現場を見ている人たちには想像できないだろう。
分からない人にこれ以上言っても仕方が無い。
言ったところで論破しようとして騒ぎ出すだけである。
近づかない方が賢明である。
辞めると判断した看護師たちは賢明である。