入院中の下着
「シャツも着せてもらえないのですか?」
「下着を持ってきているのに、洗濯物が無いなんて・・・使ってないのですか?」
家族からこう責められたことのある看護師も多いと思う。
特に急性期の病院では、下着が着れないケースがある。
「着れない」というと言い方は悪いのかもしれないが、カテコラミン類(いわゆるメニュー類)の持続投与中は点滴ルートからの確実な投与は重要性が高い。
「下着を着る」という行為一つにしても、「優先順位」が変わってくる。
ICUなどでは「専用の病衣」があるくらいだ。
「一人でできないから」
「寒がりだから」
「かわいそう」
と家族の「感情」が絡むので、少し面倒なのだが、医療者(プロ)として必要な事は伝える必要がある。
私はICUを経験しているので、シリンジポンプで投与されている持続点滴の重要性は高いと考えている。
ノルアドリナリンなどの持続投与が行われている時は、ものの1~2分で大幅に血圧が低下する場面も経験している。
「清拭の時に5分くらい点滴の接続部を外しても良いでしょ・・・」が許されないレベルである。
一般内科ではあまりメニュー類の持続投与は少ないのかもしれないが、メニューの持続投与が行われている患者の場合、着替え一つでも優先順位が変わってくる。
この点は一般の人にはおそらく理解できない。
医療者でも一般内科でしか働いたことのない看護師には理解できないかもしれない。
まして、慢性期や回復期の病院ではあまりない事例かもしれない。
要するに、「下着を着れない」というケースは稀(まれ)なのだ。
だからこそ理解してもらえない事が多い。
家族からのクレームに発展する可能性があるので、難しいのだが、「とても重要な点滴が投与されている時期だけは下着が着れない場合があります」「落ち着いたら使用します」など丁寧な説明が必要になってくる。
その説明は「はじめに」やっておかなければならない。
同じ内容を話しても、「先に言えば『説明』、後で言えば『言い訳』」になるからだ。
色々忙しい中大変だが、トラブルを防ぐためのポイントとして頭に入れておきたい。