私の病棟では、救急病室から状態が安定した患者が転棟してくるケースが多い。
初期治療を救急病室で行い、回復期を病棟が担う・・・というスタイルである。
このようなスタイルの病院は多いと思う。
先日、『低血糖』で救急病室に入院していた患者がいた。
「低血糖」とは血液内の血糖値が低い状態であり、当院では80mg/dl以下で低血糖症状(あくび・脱力・冷や汗など)がある患者にブドウ糖の摂取(または注射)を行うというアルゴリズムがある。
救急病室でも低血糖を繰り返しており、比較的落ち着いてきた段階で私の病棟へ転棟してきた。
転棟してきてすぐ、メインの輸液ボトルを見ると、「ソルデム3A(500ml)」に「5%ブドウ糖20ml 1本」が入っていた。
「5%ブドウ糖?」
「50%じゃなくて、5%ブドウ糖?」
先生のオーダーを確認すると、「5%ブドウ糖20ml」がオーダーされている。
看護師の作成ミスではない。
病院で働いている人はわかると思うが、普通に考えておかしい。
メインボトルに5%ブドウ糖20mlなんて入れない。
救急病室の看護師に尋ねてみた。
メデ:「メインのボトルに5%ブドウ糖が入っているのは何かの意味があるんですか?」
Ns:「えっと。。。先生の指示です」
メデ:「50%ブドウ糖ならわかりますが、500mlの中に5%入れても・・・」
Ns:「あっ・・・(ここで違和感に気づいたらしい)」
医師に確認すると、医師のオーダーミス。
この輸液が3日間投与されていたそうだ。
(3日間「低血糖」を繰り返していた)
救急病室の看護師は違和感を感じなかったのだろうか・・・?
救急病室の師長からすぐに電話がかかってきた。
「すみません。注射を作った看護師はおかしいと思ったそうなんですが、先生に聞けてなくて・・・」
おかしいと思ったことは声に出して確認したほうが良い。
自信がないなら、近くにいる『聞きやすい人』にでも聞いたほうが良い。
今回の件だけでなく、過去にも救急病室の看護師が気づけないケースはたくさんあった。
救急病室の看護師がこれに気づけないのは良くない。
『医者』が治療を行っているかもしれないが、看護師の日々の学習が患者さんの治療に影響する場面も多い。
違和感を感じられるよう、勉強を積み重ねるしかない。
何度かここでも紹介しているが、まずは「エキスパートナースの知恵袋」をオススメしておく。
まずは違和感に気づける看護師になろう。