お客様は神様です
患者さん第一に
サービス業でよく耳にするセリフである。
医療もサービス業と言われ、「患者サービス」という視点で接するように指導されるようになってきた。
良いことであると思うが、医療関係者は世間を知らない「マジメさん」が多いので、何かを導入しようとすると過剰になる。
「◯◯さん」という言い方は失礼になる。
「◯◯様」と呼んで下さい。
と上層部が言い出し、
当院でも数年前に「◯◯さま~」と呼ぶようになったが、すぐに廃止された。
違和感がハンパなく、患者や家族から「気持ち悪い」「わざとらしい」とクレームが来た。
そりゃそうだ。
今までろくに敬語も話せない医療者が、突然「◯◯様」などと言いだしたら、「バカにしとるのか?」と言いたくなるのが普通の神経だろう。
それだけで「上から目線」に感じられるものだ。
患者は病人である。
表面だけの「様づけ」は要らない。
共感の気持ちを持ち、失礼にならない言い方をすれば良いだけの話である。
それ以上は必要ない。
先日、患者の家族からクレームが入った。
付き添い中の家族だったのだが、「付添い中の駐車場代を病院で負担すべき」というクレームであった。
残念ながら、当院ではそういうサービスはない。
泊まりで付添いを希望されるなら、タクシーや公共の交通機関で来院して頂く。
その患者家族へ「申し訳ありませんが、当院でそのようなサービスはございません」とお断りしたのだが・・・
- 心がない
- それなら帰る
- 「付きそうな」という事か
- 他の病院では無料だった
などと激高した。
こういう場合、少し時間を置くのが懸命である。
「事務の方にも確認致します」と伝え、事務へ聞いてみたが、「やってない」との事。
予想通りの答えであったが、この「確認した」という事実を作らなければならない。
患者家族へ「説明した」という武器をひっさげて、
「相談しましたがダメでした」と再度説明に行ったが、色々と嫌味を言われ終わった。
こちらは、意向に添えないことを謝るだけである。
ただ、1回目と違ったのは、「あなたが謝っても仕方ない」という言葉が出てきたことだ。
1回目は明らかに私が「敵」だったが、気づけば「上層部」が敵になっている。
患者家族は感情的には納得できないだろうが、トーンダウンしたようであった。
サービスの中にも「できること」と「できないこと」がある。
「言いなり」になれば良いというものではない。
叶えられないものもあるのだ。
色々と言われて辛いが、色んな人がいるもんだな・・・と感じた次第である。