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医療を優先するか、生活の質を優先するか

めでろぐ

病院に入院すると「医療」が優先される。

今まで好き勝手に食べたり飲んだりしていた生活と突然切り離される。
いわゆる「普通の生活」とは違う「非日常」になる。

医療は契約であるが、医療側と患者(もしくは家族)間で齟齬(そご)が生じる。

例えば、心不全の患者が入院したとき、「飲水制限」がかかる。
1日500mlまでと決められたりする。
(他は輸液でコントロールされる)

しかし、患者や家族側はこの「感覚」がない。

説明が不十分な部分もあるのだろうが、お茶やジュースを大量に買ってきて、「おじいちゃんは甘いものが好きだから」「いつも沢山飲んでいたから」「脱水になったら困るから」と言ってくる患者の家族もいる。

看護師は「制限がされているので」と説明するが、家族は「お茶やジュースも好きなように飲ませてもらえないのか?」と責めてくる。

この基準は非常に難しい。

家族や患者は「治療はやってもらいたい」でも「我慢はさせたくない」という感情が生じる。
しかし、医療側は「病院に入院するということは、治療を優先させたいという事なのだから、シッカリやってもらわないと治療にならない」と思っている。

同じ入院でも、

カッチリ医療(早く治したい)
ゆるり医療(ゆっくりで良いから、我慢などの負担を抱えずに治療したい)

がある。

病院側としては回転数を上げないと収益に影響するので、前者の「早く治して、早く退院」を目指したいところである。

しかし、高齢者が増えた今、「長く入院させたい」という想いを持つ家族も多く、理解を得るのに難渋する。

私は「総合病院で勤める医療側」なので、入院中は医療を優先させてもらう。
納得されない場合もあるかもしれないが、好き勝手やりたいなら、再燃する可能性に理解をしてもらい退院してもらう。

どちらが正しいとか、間違えているとかではなく、「どちらを選択するか」だと思う。

 

両方のバランスが上手く取れればよいが・・・難しい選択の問題である。

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この記事を書いた人

【めで師長】
ある総合病院で看護師長をやっています。
看護師経験は20年以上で、精神科・ICU・内科病棟の経験があります。

Twitterで書ききれない内容をブログの中で好き勝手書いています。
このブログが誰かのお役に立てれば幸いです。

※ブログの更新は不定期です。

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