「自分にしかできない事がしたい」
もしくは、
「自分にしかできない事って何だろう?」
そんな風に考えたことのある人は多いかもしれない。
私は看護師として働きながら、「自分にしかできないこと」を考えてきた。
特に20代の頃は、昔からのやり方に反発し、「ルールは破るもの」「ルールは変えるもの」という考えが強かった。
組織に馴染もうとせず、『独自のやり方』を見出そうとしていた。
そのおかげで、色んな事が変わった。
私が関わった事で「良くなった」と周囲から感謝されたことも何度かある。
しかし、今思えばこのやり方は賢いやり方ではない。
Google Scholar (論文や学術誌、出版物にアクセスできる検索 サービス) のトップページ には「巨人の肩の上に立つ」( Stand on the shoulders of giants)という標語が掲げられている。
巨人とは、偉大な先人たちの業績 や先行研究などの喩えであり、そういったものの積み重ねの 上に学術研究の新たな知見は構築されるのだということを端的に示している。
何でもそうだが、初めから「オリジナル」なんていう発想はおこがましい。
先人のやったことの積み重ねにより成長すべきなのだ。
看護の世界には、確かに「昔ながらの」縛りがたくさんあると感じる。
時代に合っていない部分も多くある。
納得できずにやっている事もあるだろう。
しかし、このやり方も先人の『誰か』が決めて、ルール化されたのだ。
「なぜこのやり方になったのか」という理由は確認しておいたほうが良い。
その方法により、誰かが助かっているかもしれないし、そのやり方によって安全が担保されているかもしれない。
私たちは先人が歩いてきた延長線上に立っている。
変えるべきものは『変える勇気』が必要であるが、時に冷静になり、『変えない勇気』も必要なのだ。
今やっている仕事のやり方は適切だろうか?
誰かの役に立っているだろうか?
考えながらやってみよう。
その発想はあなたからしか出てこない。
他の人では気づけないかもしれない。
気がつけば「自分にしかできない仕事」ができているはずである。