医療現場で働いていると、日々様々な問題が起こる。
医療現場だけでなく、家庭や組織・・・生きている以上、問題は常に起こる。
それらの問題を体系的にまとめ、問題を解決しやすくしようとする考え方がある。
クリティカル・シンキングやロジカル・シンキングと言われる考え方は、コンサルタント業では主流になっている。
ただ、これらの知識があっても問題解決はできない。
『「問題解決」というのは、アカデミックに解くというより、実践で解くものだ』と何かの本で読んだことがあるが、その通りであると思う。
そもそも、アカデミックな世界しか知らない学者に、実際のビジネスの課題を解いてもらうという事自体間違っている。
学者に問題解決は教えられないのである。
しかし、私たちはビジネス書に答えが書かれてあると錯覚してしまう。
私自身がそうだったのだが、ビジネス書を多く読んだ時期があった。
問題解決はビジネス書を探せば、どこかに書かれてあると思っていた。
そんなものはどこにもない。
ヒントとして使えるかもしれないし、後から「このやり方が当てはまるな」という事はあるかもしれないが、問題解決には使えない。
ほとんどの問題は複雑に絡まっていて、美しく学説におさまらない。
無理に学説に収めようとしても、問題は解決できない。
問題解決の論理やスキルは身につけて損はしないが、それだけで満足してはいけないのだ。
答えが無いものに取り組み、自分で答えを見つけるしか無い。
応用が利くのはそこからである。
看護の世界には「看護研究」というものがある。
個人的には「看護研究」は好きではない。
ハッキリ言って、他人の研究結果を聞かされても、応用して活用できない。
看護研究発表会に参加して、どこか腑に落ちない感情はここにあると思う。
「問題解決」と思われるような発表を聞いても、結局、自分の部署で実践して取り組んでいくしか方法は無いのだ。
研究が積み上がれば看護の世界が良くなる?
そんなのは錯覚である。
現実のビジネスの課題に、たった一つの正解があるわけではない。
今いる場所で、自分たちで取り組むしか方法はない。
最後はその「経験」が物を言う。
頭でっかちにならず、行動するしか無い。