病院では「モノが無くなる」という事が日常的に起こる。
「常備の薬が足りません」
「在庫のセーレが無くなっています」
「患者さんの入れ歯が不明です」
など。
モノが無くなり、探し回ることがある。
たまに、患者さんの家族が持って帰っている事もあり、何とも言えない気持ちになることもある。
先日、入院患者さんが「着てきた服がない」と言われていた。
入院時に病衣に着替え、家族へ渡しているはずである。
家族に電話して問い合わせると、「受け取っていない」と答えられた。
そんなはずはないと思いながら、探し回った。
スタッフ数人に聞き込みを行い、他の患者さんのベッド周りを探したが、見つからなかった。
あるスタッフがLINEで「透明のビニル袋に入れて返却しました」と報告してきてくれた。
私の部署では病棟内でグループラインを作成し、情報共有ツールとして活用している。
(もちろん、患者の名前やグチなどは入れないルールを決めている)
家族へ「透明のビニル袋に入れて返却したと担当した看護師が言っていますが・・・」
「もう一度探して頂けないでしょうか」と話すと、「『透明のビニル』と言われたら、受け取った気がする」と言われた。
結局家族が自宅へ持って帰っていたというオチである。
突然の入院や高齢化に伴い、家族の記憶が怪しいときもある。
病院内で無くなっている事もあるが、家族が覚えていない事もあるのだ。
ここで、管理者として、気をつけなければならないことが2点ある。
①スタッフを信用すること
②患者や家族のせいにしないこと
この2点は気をつけた方が良い。
モノ無くなった時は誰もがイヤな思いをする。
まずは皆に協力を依頼して探すこと。
絶対にスタッフを責めてはいけない。
ネガティブな言語は視野を狭くする。
そして、家族へ説明するときは、今探しているという『現状』だけ伝え、「引き続き探す」という誠意を見せること。
見つかるかどうかは「結果」である。
結果は選べない。
運が良ければ見つかるし、見つからないかもしれない。
家族へ「無くなりました」という言い方ではなく、「引き続き探す」という姿勢を見せる事で相手の気持ちが変わってくる。
責められるかもしれない・・・という恐怖もあるが、受け入れるしかない。
下手に「言い訳」してしまうと、話がこじれてしまう。
シッカリと謝罪する方が良い結果につながる。
「自衛しない」ことが「自衛」につながるのだ。