今月号(8月号)のエキスパートナースを読んでいると『マルチモビディティ』という用語が出てきた。
なんとなくイメージできる言葉であるが・・・皆さんの想像通りである。
マルチモビディティとは
いくつかの慢性疾患が、併存している状態
かつ、診療の中心となる疾患を設定しがたい状態
である。
高齢者ではコモンな状態(普通のこと)であると言われており、最近の問題となっている。
ガイドラインを機械的に適用するやり方ではうまくいかず、全体を俯瞰して考えなければならない。
心臓の薬を増やせば、腎臓が悪くなる・・・といったケースは日常的にある。
要は、この患者さんにとって何が最適であるか?というバランスが大事である。
治療に関しては「医師」が行うのだが、医師一人の力では難しい現状がある。
一人の人間が何人もの患者さんの状態を俯瞰して全体を見るには時間が足りない。
日常的に関わっている看護師だからこそ気付けることは多い。
エキスパートナース8月号の中では、心不全と肺炎の症例が出ていたが、肺炎を起点として心不全が悪化した場合、肺炎の治療を行うべきか、心不全の治療を行うべきか・・・迷う。
そして、その肺炎の原因が「誤嚥」だった場合、オーラルフレイル(口腔内の低下や食の偏り)も見ていかなければならない。
つまり、歯科口腔外科へのコンサルトや嚥下の評価が必要となる。
咀嚼や嚥下機能が良好であれば、栄養状態も良くなり、運動もできるようになり、筋力も回復できるかもしれない。
しかし、嚥下が悪いと食事量が減り、栄養状態が悪くなり、筋力は落ち、寝たきりになる。
ひいては誤嚥性肺炎を引きおこしてしまう。
一見「心不全?」が、実はたどっていくと「嚥下障害」だったりするのだ。
私たちが普段関わっている患者さんにも隠れている兆候かもしれない。
そして、それに気づけるのは看護師なのかもしれない。
そう考えると、私たちの役割は大きい。
さて、今日も一日頑張ろう!