菅総理がオリンピックに向けて「医療体制に影響を及ぼさず、看護師500人の派遣は可能」と述べたことに波紋が広がっている。
医療の現場を知らない人からすれば「頭数」が多い看護師の500人なんて大したことないと思うかもしれない。
しかし、医療現場で働いている私たちからすると、現場は常にギリギリでやっている。
部署では看護師が1名減るだけで大きな影響が出る。
2~3名「育児休暇」に入ってしまえば、勤務上、かなり厳しい。
私たち看護師は「休めない」というのが常態化している。
「大雪が降ったので、今日は看護師は誰も来ません・・・」
という事態には絶対にならない。
大雨でも大雪でも、大暑でも極寒でも、看護師は看護師として働きに来る。
それは、自分たちが休んだら患者さんが死んでしまうからだ。
事務職や議員さんは、全員が休んでも誰も死なないかもしれないが、私たち看護師が全員休んだら死人が出る。
私は、医者全員が来ない事態より、看護師全員が来ない事態の方が影響が大きいと思っている。
頭数が多いので「代わりはいくらでもいる」と思っているかもしれないが、それは安易すぎる。
今までの経験上、「何とかなる」と平和ボケしているのではないか。
「何とかなる」ではなく、今まで誰かが「何とかしてくれた」のだ。
コロナで医療体制が逼迫している中、医療に影響を及ぼさずに看護師500人集めるのはハードルが高い。
オリンピックの開催については私は反対だ。
色んな立場の人がいるので、行ってもらわないと困る人もいるだろう。
ただ、看護師に無理を強いるのはやめていただきたい。
私たちは「病気の人々をケアする」という役割がある。
非常に残念だと感じたのは、これに「日本看護協会」が絡んでいることである。
日本看護協会が菅総理に「500人ならイケます」と言ったのではないかと私は勘ぐっている。
表面上は菅総理が叩かれているが、現場の事を何も知らない人が根拠もなく発言するには安易すぎる。
現場を離れた、日本看護協会のおばさん軍団の言うことを真に受けないで頂きたい。
もう少し想像力を働かせてもらえないだろうか。