看護の世界は「良いこと」をすべてやりたがる。
- すべてのインシデントのカンファレンス
- 入院時のチェック
- 無駄な用紙を準備
- 無駄な会合(会議)
- タイミングの悪い教育
- ムダに長い勉強会
ミケランジェロという彫刻家をご存知だろうか?
名前くらい聞いたことがある・・・程度には知っているかもしれない。
ミケランジェロはイタリア盛期ルネサンス期の彫刻家、画家、建築家、詩人である。
ダビデ像・・・は有名な彫刻かもしれない。
昔、ローマ教皇がミケランジェロに「あなたの才能の秘密を教えて頂けないでしょうか?」
「どのようにしてダビデ像ーー傑作中の傑作ーーを作り上げたのですか?」と尋ねたところ・・・
ミケランジェロはこう答えたそうだ。
「簡単です。ダビデではないものをすべて排除したのです」
私たち看護師は「看護でないもの」をやっていないだろうか?
看護でないものを排除しなければ、良い看護はできないのに。。。
以前からの「風習」で、「やらなくて良いこと」を見極められずに漫然と行っていないだろうか?
私は現場看護師が看護に集中できるように努力している。
インシデントのカンファレンスは極力短く。
患者要因(自己抜去など)はいちいちカンファレンスなど行わない。
医療者要因の見落としは、次回同じ過ちをしないようにカンファレンスを行い共有する。
しかし、予防措置を行いながらも患者要因で発生したインシデントに関しては力を入れない。
勉強会は極力行わないようにしている。
行ったとしても20分程度としている。
ラーニングピラミッドによれば、読書や講義の定着率は非常に低いことがわかる。
看護に意識を集中させるのではなく、看護でないものに集中して、それを排除すれば良い。
ギリシャ人やローマ人はこの考え方を「否定の道」と名付けたそうだ。
投資の世界で有名なウォーレン・バフェットという人は、「私たちは、ビジネスにおける難問の解決法を学んだわけではない。学んだのは難問は避けたほうが良いということだ」と言っている。
デザインの世界では、徹底的に「引き算」を行うことで、人に伝わるデザインが出来上がるそうだ。
「すべきこと」を考えるのは簡単である。
しかし、「すべきでないこと」を考えて実行するのは難しい。
しかし、「すべきでないこと」を排除しないと、良い結果は出せない。
「すべきでないこと」を見極めて取り組んでみよう。