久々にブログを書いてみる。
7月末に一度更新する予定だったが、安倍元首相の事件により、一気に気持ちが失せた。
いまだに思い出すと集中力を欠くし、暗い気持ちになる。
救急医療をかじってきた私でさえ、これほど影響を受けるのだから、一般の方々はそれ以上であると推察する。
あの事件の後、私の考えをブログに綴ってみようとも思ったが、言葉が見つからなかった。
どんな表現をしようとも、薄っぺらな感想文になるような気がして、手が動かなかった。
そうしているうちに、次の師長への引き継ぎが始まり、あっという間に8月に入った。
安倍元首相のご冥福をお祈りすると共に、治療に当たられた奈良県立医科大学附属病院の皆様の対応を称賛したい。
現場は、搬入された状況が状況なだけに、苦しい判断の連続だったと思う。
まして、政府の要人であり、救命は厳しいと頭でわかっていながら、目の前の救命に全力を注がなければならない難しさも同時に経験されたと思う。
輸血100単位が話題になっていた。
私は心臓血管外科の手術後の患者の出血で、PCPSを回しながらRBC-LR 30単位投与を経験したことがあるが、100単位と聞いて驚いた。
かなり大変な準備と対応力が求められたと思う。
ネットでは色んな意見が飛び交っていたが、責任のない人間が発言するのは簡単である。
現場の判断が何よりも正しいと思う。
さて。
話は変わるが、私は8月から病棟師長を離れ、病院全体のIT関連の仕事に従事している。
世間では、「Society5.0」「DX(デジタルトランスフォーメーション)」「AI(人工知能)」という言葉が当たり前に使われているが、医療の世界はまだまだ遅れを取っている。
その時代変化に遅れないよう、現場に先進技術を取り入れていく試みが当院でも始まった。
(今までもそのような話はあったようだが、いよいよ本腰を入れて取り組むことになった)
私はIT関連に関しては門外漢なので、主に現場の経験を新しい技術やシステム構築に活かす(アドバイスする)役割である。
近い将来、働き手は確実に不足する事が分かっている。
DXを取り入れて、働き手の負担を軽減し、サポートして行かなければ間に合わなくなってきている。
配属されて2週間が経つが、アンテナを張っていると、現場では考えたことのなかった、色んなことが見えてくる。
昨日の日経新聞には、中国で「AI食堂」の話が載っていた。
ロボットが食事を運んだり、会計もお膳の画像で判断したり・・・AIはさまざまなところで活用され始めている。
これから先は、医療にDXは必要になる。
生まれて初めての、いわゆる「事務職」であるが、出勤時間は10分前でも十分間に合うし、昼休みは1時間取れるし、電話は少ないし・・・
これだけで「なんてゆるい職場環境だろう・・・」と感じずにはいられない。
23年間バタバタと現場を走り回ってきた人間としては、違和感を感じる。
仕事は自分のペースで行え、途中で呼び出されても余裕があるし、冷静に考える時間がある。
自分が知らなかっただけで、これが「当たり前」なのかもしれない。
現場を離れて、改めて「看護師はすごい」と感じる。
業務量や覚える事は多いし、自分のペースで仕事ができないし、電話は多いし、関わる人も多い。
休みの日の勉強は当たり前であるし、多くの時間を「他人のため」に使っている。
師長時代は1日に約70人前後の人と会話していたような気がする。
メールは1日に70件程度流れてきていた。
最近はせいぜい20人程度としか話していないし、メールも減った。
体感的に業務量は減っている気がする。
もちろん、1件1件の案件は重いものが多いが、比較的集中して時間をかけられるので、自分自身の成長も感じる。
今のうちにいろんな勉強をして、自分自身を成長させたいと思う。
周囲の人が「看護師さんすごい」と言っていた意味が、ようやくわかった気がする。
私達が思っていた当たり前は、当たり前では無いのだ。
現場で働く看護師は、その業務をこなせている事に自信を持って良い。
誰でも簡単にできる仕事ではない。
こんなに看護師の偉大さを感じたのは初めてである。
私自身は、現場の大変さを少しでも緩和できるよう、ネタを見つけて取り組んでいこう。