「○○さん、変わりありません」
看護師がよく使う文言に「変わりない」「著変なし」という言葉がある。
個人的にこの言葉は嫌いである。
「変わりない」は「良くなっているのか」「悪くなっているのか」が分からない。
「著変なし」についていは「著変(ちょへん)」という言葉は辞書に無い。
新人の時から良く耳にしていたが、そもそも、この言葉は何なのだろうか?
辞書で調べてみたが、
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ちょ【著】
[名]
書物を書きあらわすこと。また、その書物。
「有名作家の著」
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ちょめい【著名】
[名・形動]
世間によく名前が知られていること。
「著名な作曲家」
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と書かれており、語源がよく分からない。
「大きな変化はない」と言いたいのだろうが、言葉を正しく使えない人に見えるので、即刻止めて頂きたい。
患者の状態が悪いまま「変わりない」なら何か手を打たないといけない。
良くなっていきながら「変わりない」なら、経過を見るか、退院を進める。
経過が良いなら、「経過は安定している」と言うべきである。
救急は「Stable」「Unstable」という表現をする事が多い。
安定しているのか、不安定なのかを述べる。
一日を通して、大きな問題(イベント)が起きなかった時は「変わりなかった」という表現を使う事があるが、患者の状態に「変わりない」はどちらかわからない。
スタッフが「変わりない」という言葉を使っているときは、「良くなっていますか?悪くなっていますか?」と返すようにしている。
病院で働いている以上、常に「変化」はある。
その「変化」に敏感になっておくべきである。
「変わりない」は人によって「さじかげん」が違う。
どちらのベクトルに動いているのか、常に観察しておく必要がある。
管理者たるもの「変化なし」に安心してはいけない。
ボイルド・フロッグ(ゆでガエル)症候群は取り返しがつかなくなる。