看護師の世界は「サービス残業」が多い。
『医療現場あるある』の一つなのだが、「人の命」がかかっているので、この事は「当然」という同調圧力によって支配されている。
人間の『感情』というのは常に変わっていくものである。
ついさっきまで「動きたくない」と言っていた人が、5分後には「あそこに行きたい」と言い出すのは普通の事である。
受け手側としては「さっき動きたくないと言ったくせに」となる。
色んな事で呼び止められ、時間はどんどん過ぎていく。
「定時に帰る」というのは良いことである。
近年は「働き方改革」という言葉が流行し、「『強制的』に定時に帰そう」とする動きが高まった。
アホな管理者は、問題の本質に着手せずに「定時に帰す」という規制を行う。
結局、「持ち帰り仕事」が増えて「働き方改革」は働く人を幸せにしない。
仕事の場所が変わっただけだ。
医療の仕事は「持ち帰り」が難しい。
なので、「翌日」に回される事がある。
頭の悪い管理者が管理している部署は「15時以降の医師の指示(例えば明日からの内服処方)は翌日に実行する」という部署もある。
朝一番から、「内服BOXに薬のセット」から始まる。
ゴチャゴチャした中で、内服セットを行うリスクを考えていないのか?
次の仕事を頭の片隅に置きながら、集中してセットは難しい。
私ならそんなリスクのある仕事のやり方は絶対にさせない。
浮世離れした師長が考えそうなことだ。
もう少しスタッフのやる気を考えて決めてはどうか?
くだんの部署はおかげさまで「離職率」が高い。
私からすれば、「当たり前の結果」だと思うのだが、それには気づいていないらしい。
「なぜこんなに辞めるのか」
「スタッフの人間関係が悪いのだろうか」
「優秀なスタッフがいない」
などと言い出し、どこか「人のせい」にしている。
そんな単純な話ではない。
残業が発生するメカニズムを特定し、メカニズムの根本に着手しない限り「もぐらたたき」になる。
センゲが『学習する組織』という本で述べている「システム思考」は「5つのディシプリン」の中でもっとも重要だと言っているが、私たちの身の回りにある問題は、個々の要素が絡み合って、お互いに影響を及ぼし合っている。
要するに、絡み合った糸のような感じで、一つ一つ解いていかないと、問題の解決にはならない。
全体を明らかにして、それを効果的に変える考え方を持たないと良い組織は作れない。
複雑な構造であればあるほど着手するにのは難しいが、出来ることは一つ一つやるしかない。
「システム思考」のディシプリンをどれだけ上手く操ることができるのかが、問われる。
定時に帰るためには「たくさんの」要素を一つ一つ取り除いていかなければならないのだ。