先日、スタッフと会話していた時、
「何時に起きて、何時に寝ているか?」という話題になった。
私は5:50頃に起床し、夜は22時半には寝るようにしている。
睡眠時間は約7〜8時間である。
スタッフからは「22時に寝ているんですか?」
「早いですね」
「前の師長さんは1時ころまで起きていると言っていました」
「自分の勉強を夜中にやっていると言っていました」
「睡眠時間が短いから、イライラしていたのでしょうね」と言われた。
(前任の師長は日常的に機嫌が悪いことで有名だった)
私たちは若い頃から「努力は報われる」とか「一生懸命頑張りなさい」と言われて育つ。
「効率」よりも「精神的なもの」が優先され、遅くまで勉強する事が美徳とされる。
近年、さまざまな脳の研究が進み、色んな事がわかってきた。
効率よく脳を使う事はとても大事なことである。
脳を最大限活かすには?
誰だって「苦しみながら」勉強をしたくないと思うだろう。
できれば「楽に」勉強をやりたい。
『最高の脳で働く方法』という本を読んだことがあるだろうか?
タイトルどおり、私たちの脳がどのように使われ、私たちがどれだけ効率の悪い生活を送っているかが記されている。
短期記憶は「前頭前皮質」というところが働く。
テレビでも「前頭前野で記憶する」という内容を聞いたことのある人も多いと思う。
そして、繰り返し脳に情報が入ってくれば、大脳基底核というところが引き継ぎ、記憶として『定着』する。
定着した記憶は少ないエネルギーで働くことができる。
自転車や車の運転をしながら他の事ができるのはこのおかげである。
別に『前頭前皮質』や『大脳基底核』という用語を知らなくても良い。
ただし、生活する上で、効率の良い脳の使い方は知っておいたほうが良い。
脳のリソースは限られている
新しい情報(前頭前皮質が働く)を処理する時、私たちは多くのエネルギーを消費する。
具体的には「ブドウ糖」と「酸素」である。
例えば、身体を動かしながら新しい情報を詰め込もうとしても、
エネルギー不足で覚えることができない。
『運動しながら勉強する』
『食べながら情報を得る』
『音楽を聞きながら勉強する』
は新しい情報を処理する上で、非効率であるという事がわかっている。
これを知らない人は、ランニングしながら英単語を覚えようとする。
スマートに見えるが、効率は非常に悪い。
新人看護師が仕事を覚える上で、習ったはずなのに「覚えてない」のはこのためであろう。
彼女たちにとっては「新しい情報」だらけであり、身体を動かしながら覚えようとしているのと同じことをやっている。
とてもじゃないが、簡単に覚えられるものではない。
管理職(師長)になって、「身体を動かしていないのに、なぜこんなに疲れるのだろう?」と思った人はいないだろうか?
管理職(師長)は「意思決定」が常に求められる立場にある。
経験したことのないケースを処理しなければならないケースは日常的にある。
この『意思決定』には前頭前皮質を使う。
意思決定は非常に疲れるものであり、ずっと働き続けることはできない。
時々休んで、ブドウ糖を摂取すべきである。
本の中でも以下のように紹介されている。
前頭前皮質は、ブドウ糖や酸素などの代謝燃料を一般の認識よりも速く消費する。
「意思決定や衝動抑制といった活動のためのリソースは限られており、
これを使い果たすと、次の活動に充てるリソースが不足する」と
フロリダ州立大学のロイ・バウマイスター博士は説明する。
難しい判断を1つ行うと、次の判断はさらに難しくなる。
前頭前皮質の力は鍛えられるものではない。
きちんと休むことは、効率を上げる上で必要である。
「勉強ができない」
「私は頭が悪い」
「記憶力が落ちてきた」
という言葉はよく耳にする。
しかし、脳の『クセ』を知り、効率よくやっている人は少ないように思う。
新しい知識を『記憶』させたいなら、きちんと座って、ブドウ糖を摂取しながら行うべきである。
そして、「長時間続かない」ということも知っておくべきだ。
夜中の2時に考えがまとまらないのは、あなたのせいではなく、あなたの脳のせいなのだ。
最高の質の思考を続けられる時間は限られている。
「もっと頑張る」ことが必ずしも答えではない。
私たちは脳を最大限に活かせていないのかもしれない。
『最高の脳で働く方法』は一度読んでおくと良いだろう。
自分のパフォーマンスを上げるのに役立つ。