先日、救急外来の勤務中に「相談」の電話がかかってきた。
- 40度の発熱が3日間続いている
- 近くの病院に行って抗生剤を処方されて飲んでいるが、解熱しない
- 自分はコロナだと思っている
という相談だった。
コロナが流行りだして「この手」の相談は多い。
院内のフローに沿って「保健所」に相談頂き、
受診は可能である事をお伝えした。
しばらくして再度電話があり、
- 保健所に電話した
- PCR検査をしてないのに「コロナではない」と言われた
- 私は医療従事者である
- 保健所の●●さんという人から言われた
- 私が重傷化して死んだら保健所の人を訴える
という電話だった。
PCR検査はできないかもしれないが、40度も発熱しており、
脱水にもなりかねないので、受診は可能であると伝えたが、
「PCR検査をしてもらえないならいい」と言って切られた。
気持ちはわからなくもないが、まずは休養しかない。
そもそも、初めから「PCR検査」を「目的」としているからたちが悪い。
「症状を緩和する」とか「悪化を防ぐ」ということが本来の目的であるはずであるが、「PCR検査をしてもらう」ということが目的になっており、それが叶わないなら受診しない・・・という話になっている。
「期待ハズレ」だったからダダを捏ねているだけなのだ。
個人的にもこの方は「コロナではない」と思っている。
もちろん、可能性はゼロではないが、
コロナだったとしても大きく対応は変わらない。
コロナであろうがなかろうが、接触を避けて休むしかない。
世の中がコロナで不安がっているのはわかる。
しかし、今回残念だったのが、『医療従事者』さえ、このていたらくだということ。
発熱で辛い状態であることはわかるが、
「発熱」で「抗生剤が処方された」という時点で違和感を感じないのだろうか?
医療従事者ならこの違和感に気づくはずである。
いかに世間がメディアに振り回されているかがわかる。
メディアは「悪い情報」「インパクトのある情報」を流し、視聴者のチャンネルを変えさせまいとする。
感染者が減れば「死者数」をアピールし、感染者が増えれば「速報」を出す。
もう少し冷静に考えれないのかと辟易している。
せめて「医療従事者」だけでも冷静でいてほしい。