看護師の生産性
師長(管理職)になると「組織の生産性」というものを意識し始める。
師長になってすぐの時期は「看護師の生産性」というものがピンとこなかった。
製造業であれば、「不良品の削減」「生産のスピード」などで評価できるのだろうが、看護の生産性は評価が難しい。
何で評価するか・・・は施設や部署によって違うのかもしれない。
個人的には「仕事の終わり具合(残業の有無)」や「処置準備にかかる時間」「クレーム件数(内容)」を考えて評価している。
一言でいえば、「スピード」と「質」である。
処置の準備は5分以内で準備(目標は3分)である。
- CVC(中心静脈カテーテル)
- 胸腔穿刺
- ルンバール
など、よく行われる処置は物品を『セット化』していれば、3分程度で可能になる。
準備に10分は長すぎる。
このような『基準』を管理者(師長)が作れるか・・・は大きな意味を持つ。
実は、看護技術の説明や書籍(教科書)には「必要物品」や「方法」は書かれてあるが、「時間」は書かれていない。
『Aさんは3分で準備できるが、Bさんは準備に15分かかる』ではダメなのだ。
『全員が5分以内で準備できる』という基準がいる。
処置に入る医師や患者さんを待たせるのは良くない。
私たちにとっては『必要な時間』であるが、待っている人からすれば『無駄な時間』である。
管理者は「ヒト・モノ・カネ」の管理を行うと教えられる。
そして、最近はこれに「時間」を考える。
時間は資源である。
時間がないと何もできない。
ピア効果を生かす
前置きが長くなったが、今日はこのような事を書こうと思ったのではない。
行動経済学の中に『ピア効果』というものがあるそうだ。
ピアとは『同僚』という意味らしい。
仕事のできる人(同僚)が一人いることで、周囲の生産性が上がるという実験結果があるらしいのだ。
勤務のメンバーに生産性の高い人(スピードのある人)が一人いるだけで全体の業務スピードが上がるという。
たしかに、言われてみればそんな気もする。
仕事のスピードが速い人がいる日の勤務はスムーズに終わっている気がする。
私はこの効果を使っているわけではないが、スタッフに「早いね!」と意識的に声をかけるようにしている。
これにより、スタッフはスピードを意識するようになる。
もちろん医療は「質」が大事であるが、ゆっくり行動すれば質が上がるわけではない。
できる範囲内でリズミカルに仕事を行うことは、スタッフにとっても患者にとってもメリットは大きい。
もし、自部署に仕事のできる(スピードの速い)スタッフがいるならば、その人をみんなの前で誉めると良い。
ピア効果で他のスタッフのスピードも上がるかもしれない。
もしよかったら試してほしい。