先日、他の部署の主任から「業務量のデータを分析したいのですが、どうやってグラフにすれば良いかわからないので、教えて下さい」と連絡がきた。
よくよく話を聞くと、エクセルで「表」を作成したいようだ。
『何が知りたいの?』
と問うと、
「傾向とか、何にどれくらい時間がかかっているとか・・・」と言う。
『それを知って、何をするの?』
と問うと、
「これから考えます」という事であった。
情報には「採血」「搬送」「おむつ交換」・・・など全て合わせて40項目以上の業務があり、それをスタッフに「○時頃、この業務をやった」と書いてもらうそうだ。
個人的には、意味が無い調査だと思う。
調査をする前にある程度「あたり」を付けて、「Aという項目(カテゴリー)が多いのなら、人を増やす」とか、「Bという項目が多いなら、物を買う」など少しくらい「仮説」を立てながら調査するようにアドバイスした。
40項目以上の業務量を調査したところで、何も見えないし、何も決められない。
そもそも、項目が多すぎる。
私たち日本人は(日本人だけではないかもしれないが)「結論は何か」「相手をどのように動かしたいのか」を明確に決めずに話す。
つまり、「考えていない」のだ。
「これから考える」と言っていた彼女は恐らく、データーが出た後で迷走する。
「考える」というのは「結論を出すこと」である。
「結論」というのは、データを見て、結果を出すことでは無い。
「おむつ交換の時間が40分かかっています」
「搬送に20分以上かかります」
という話は結論では無い。
単なる「事実の羅列」である。
「おむつ交換が40分かかっている」
「寝たきり患者が30人いる」
「看護師は3人で回っている」
『40分は妥当である』と結論づけるのか、
『他の業務が押すので、この時間帯のおむつ交換は止めよう』と行動を変える。
結論を出すためのデータや分析であるべきである。
データを取れば何かがわかるのかもしれないが、その前にある程度「仮説」を持っておくべきであり、「○○がやりたいから△△のデータを集めてみる」とすべきであろう。
「データを集めて分析しなさい」という上司は多いが、結論を出せないのならやる意味はあまりない。
データばかり集めて、傾向まではつかめるが、その後が決められないのなら意味が無い。
そして、そのデータは後々「取り直し」になる。
少し次の段階を考えて行動しておいた方が無駄の削減になる。