タイトルからして、「何?今日はなに?」と思っている人もいるかもしれない。
先日、患者さんが退院する直前に「お金が無くなった」と言ってきた。
その患者さんは認知症が軽度あり、自宅でも「お金を取られた」と言うことがあったらしい。
いわゆる、『物盗られ妄想』なのだが、今回は少々困ったことになった。
その方には家族が3人いる。
キーパーソンは長男。
入院時の付き添いは長男の嫁。
退院を迎えに来たのは次男。
退院時に来ていた「次男」は今までの状況を知らずに、迎えに来ただけ。
「お金を取られた」という患者の言い分を鵜呑みにし、『病院で盗まれた』と思ってしまったのだ。
普段から患者にあまり関わっていない男性は情報を持っていない。
被害額は3000円らしい。(患者さんが「財布に3000円入っていた」と言ったため)
財布にお金を入れていたが、手術後に無くなったと言う。
最終的に本人と家族が納得せず、警察沙汰になった。
当院には警察を定年退職した後に警備員として働いているスタッフがいるのだが、「たった3000円くらいで警察呼ぶか普通・・・ボケ老人が!」と腹を立てていた。
(警察OBなのに口が悪い・・・)
警察が色々と話を聞いてきた。
- 入院の時は誰が財布を管理していたのか
- 手術の時にはどこで財布を管理していたのか
- 誰が関わったのか
など
御丁寧に写真を取り、情報収集を行っていく。
病院側も『捜査』となると、協力しなければならない。
午前中いっぱい対応した。
休みのスタッフにも電話をかけて、覚えている事を話してもらった。
『看護師が盗んだ』と疑われるのは辛い。
しかしこの事件は、一本の電話で幕を閉じることになる。
『入院時に付き添った長男の嫁』が電話をかけてきた。
「初めからお金を入れていませんでした」と。
は?
は??
はぁぁ???
その嫁の話によれば、すぐに「お金が取られた」と言うので、初めから入れていなかった・・・らしい。
患者にも言っておいたらしいのだが、覚えているわけがない。
誰も悪くなかったので良かったのだが、このおかげで半日以上が潰れた。
それにしても、警察が気の毒で仕方なかった。
たぶん、警察署に戻ってから「ボケ老人が!」と悪態をついているはずである。
色んな事があるものだ。